ジャパンCダート小島太師

こんにちは、平松さとしです。
 先週のジャパンCは思わぬ結果となりました。1位入線の馬が降着で2着となったのだから皆さん、色々な意見が飛び交うのは当然でしょう。
しかし、いずれにしても斜行があったのは事実。降着にしなければしないで問題となったことでしょうし、馬券に絡んだ感情論は論外として、様々な意見が噴出するのは仕方のないことです。
今回の問題も根本はフェアーな騎乗が出来たか否かという部分。皆が真っ直ぐ走らせていればこんな後味の悪いレースにはならなかったはず。外国人騎手も多く来日する昨今ですが、いずれにしても綺麗な競馬を披露できる様、全ジョッキーに心掛けて欲しいですね。

 さて、今週はジャパンCダート。ジャパンCといっても今年は日本馬だけで、名ばかり(なのか、これが本当のジャパンCなのか?!)という感じです。ダートを主流にしている競馬といえば当然アメリカなのですが、そのアメリカの競馬場は全て左回り。何を思ったかジャパンCダートを左回りの東京競馬場から右回りの阪神競馬場に変えた時点で今年のような事態を招くことは十分考えられました。間違いは誰にでもあることで、大事なのはそれを正せるか否か。JRAには1日も早くジャパンCダートの舞台を東京に戻して欲しいと願うばかりです。
 さて、そんなジャパンCダートですが、東京で行なわれていた当時も、1度だけ中山競馬場、つまり右回りで行なわれたことがありました。
 02年、東京競馬場のスタンド改築が行なわれた時のことです。
 そしてこの年のジャパンCダートを制したのがイーグルカフェ(美浦・小島太厩舎)でした。
 イーグルカフェは同じ小島太厩舎のマンハッタンカフェとともにフランスへ遠征。かの地でドラール賞に出走しました。そこで3着と好走すると、現地に残ってもう1度、フランスの重賞に挑戦しようというプランも立てられました。しかし、これに反対したのが小島太調教師だったのです。
 小島太調教師は「すぐに帰国させればジャパンCダートに使えるけど、(フランスで)もう1回使うと検疫の関係で間に合わなくなる」。フランスにいる頃からジャパンCダートを視野に入れていたのでした。
 更に驚くべきウルトラCはL・デットーリ騎手を鞍上に迎えたことでした。
「ジャパンCで来日することを知ったから、もう1日早く来てもらい、うちの馬に乗ってもらえるよう、依頼しました」
 当時はジャパンCが日曜日、ジャパンCダートが土曜日と、2日連続での開催だったことから成せた業でした。
「早目に帰国したお陰で状態はこれまでにないくらいよく仕上げられたし、フランキーも完璧な騎乗をしてくれた」
 全てのパーツがキッチリとハマった結果の大金星だったというわけです。
 ちなみにデットーリ騎手は翌日のジャパンCもファルブラヴを駆って勝利。2日連続でGⅠレースを制したのでした。
 さて、今年は日本馬だけのジャパンCダート。それはそれで新たなドラマが待っていると期待しましょう。(08年掲載)