川田将雅騎手ハープスター2014年桜花賞

―― ハープスターですが追い切りはノータッチ?

川田騎手 はい。信頼できる厩舎のスタッフにお任せしています。『調教はそれほど真剣に走らなくなってきているけど、時計は出ているし、状態は良いので心配ない』と伺っています。

―― 前走(チューリップ賞、1着)を振り返って下さい。レース前の雰囲気はいかがでしたか?

いつも通り良かったです。3歳初戦だったけど、競馬へ行けば走ってくれるだろうという雰囲気を感じました。

―― スタートは悪くなかった。

そうですね。元々スタート自体は悪くありません。ただ、いつも二の足がつかないので後方からの競馬になる。前走もそういう感じでした。

―― 道中は手応え良くみせた。

いつも真面目に走らないタイプですが、前走に関してはやっとちゃんと走ってくれたという感じでした。

―― 直線はやや内へ行きたがった。

道中はリズムよく走ったけど、直線ではいつものように少しフワフワしてしまいました。その分、内へ行きたがったけど、口向きが悪いとか、苦しくてササッたというわけではありません。

―― むしろ余裕があるから……ということでしょうか?

そういう感じです。余裕があるというか、余裕しかないので、遊んで、他の馬がいる方向へ行きたがったという感じです。

―― それでいて楽勝したことに能力の違いを感じさせる。

乗っている方の感覚としてはほとんど動かしていないですからねぇ。それであの勝ちっぷりなわけですから絶対能力が高いのは間違いないでしょう。

―― 今回は阪神ジュベナイルFの上位馬との再戦になります。

GⅠですから相手が強化されるのは百も承知しています。それでも普通に走ってゴールまで辿りつけば恥ずかしい結果にはならないと信じています。

―― となると、やはり心配なのはフワフワと遊んでしまう点だけ?

そうですね。ただ、馬自身成長しているのも間違いないですし、僕もそうさせないように乗るのが仕事だと思っています。好結果が出るようにしっかり走らせるだけです!

佐々木晶三調教師(キズナ2014年大阪杯)

―― キズナですがまずはフランスの2戦を振り返って下さい。前哨戦のニエル賞を勝利しました。

佐々木師 シャンティイの調教コースも初めてで正直半信半疑。その中で勝ってくれたことで、次は完璧に仕上げて臨めるという自信が持てる勝利でした。

―― 本番の凱旋門賞は勝ちにいく競馬をしての4着。負けたものの立派な内容でした。

はい。勝ったトレヴには離されたけど、直後に有馬記念を8馬身差で勝つオルフェーヴルとはそれほど差がありませんでした。評価できる競馬だったでしょう。

―― その後、有馬記念出走という話もありました。

多少疲れがあったので万全を期して回避。放牧でリフレッシュしました。どこか故障をして回避したわけではないので、問題はありません。

―― この中間の過程を教えて下さい。

疲れがとれるのを待って2月19日には栗東に帰厩させました。その後は何のアクシデントもなく予定通り調整できました。

―― 具体的には?

時計で言うと11本。本数もそれぞれの時計も帰厩当初から予定していた通り。この馬は調教助手も厩務員もベテランが担当しているだけあって、本当に予定通りにきています。

―― 最終追い切りはCWで5F64秒9。

少しボコボコした馬場だったけど、終いは11秒台でまとめてすごく良い動きをしてくれました。万全の仕上がりとみて良いでしょう。

―― 追い切りで跨った武豊騎手は何と言われていましたか?

「さすがキズナ。素晴らしい動きだったし、馬場状態を考えると時計もよいです」と言ってくれました。好感触を掴んでいるようでしたよ。

―― ひと息入れてさらに成長している感じもある?

正直、凱旋門賞の時はもうかなり出来上がったと思ったけど、今みていると更に成長している感じがありますね。どこまで成長し続けるのだろう?という感じです。

―― 本番はこの次の天皇賞かと思われますが?

いやいや、叩き台という気は毛頭ありません。何と言ってもダービー馬ですからね。使う限りはどれも勝つつもりで挑みます。

―― となると、実力は疑いようがないので当然、期待できる。

はい。能力の高さは過去一連の競馬ぶりで示せているはずです。体調さえ整えば勝ち負けになるのは間違いないと信じて送り出します!

角田晃一調教師(ベルカント2014年フィリーズレビュー)

―― ベルカントは前走(朝日FS10着)以来、約3か月ぶりの競馬。

角田師 前走後は放牧に出してリフレッシュしました。このレースから逆算して帰厩し、乗り込んでいるので仕上がりは悪くないです。

―― 最終追い切りは坂路で53秒5。時計的には平凡でした。

やれば軽く51秒台をマークできます。ただ、テンションを上げたくないし、中間も好時計が出ていたので最終追い切りは意識的に軽めにしました。動き自体は良かったですよ。

―― ラスト1Fは12秒3と伸びていましたね?

はい。以前は3F目の時計が速くなって最後は失速することが多かったけど、このところラストを伸ばせるようになってきました。良い傾向だと思います。

―― 中間には武豊騎手も騎乗。

「だいぶ乗り易くはなってきた」と言ってくれました。あとは競馬でもコントロールが利くと良いのですが……。

―― 朝日杯FSでは左に、小倉2歳S(三走前2着)では右にヨレる感じでした。

どうも他の馬がいる方へ行きたがる感じがあるようです。ただ今回は5戦目だし、年齢的な成長もあってそのあたりを解消してくれれば良いと思っています。

―― 肉体面の成長はどうですか?

追い切り後の計量では前走時と同じ476㌔でした。輸送はあまり影響ないタイプなので当日もほぼ同じくらいの体で出られると思います。

―― やはり問題は折り合い?

そうですね。決して扱いやすいタイプではないのでそのあたりが課題になってくるでしょう。幸い、帰厩後は落ち着いて走ってくれているけど、競馬にいくとどうなるかは正直、分からない部分が大きいですからね。

―― とは言え、前走も結構、粘っていました。

5F通過が58秒台だったし、中山は坂があるので最後は失速しました。でも、ラスト200㍍を切るまではよく粘っていたと思います。

―― 今回の阪神も坂があります。

坂路では良い動きをするのでトモが甘いわけではありません。そういう意味で内回りコースなら流れ次第で踏ん張れるはずです。

―― ここからは短距離路線も視野に入れている?

よほど変な競馬をしない限りまずは桜花賞です。そのためにも良い結果が出ることを願っているし、出せると思っています。

2012年・凱旋門賞、オルフェーヴルの戦い


凱旋門賞5日前の火曜日。7時30分の待ち合わせ時刻になっても池江泰寿は姿を現さなかった。
前夜も一緒に食事をさせていただき、時間を確認して別れた。それだけに忘れているわけはないと思い、40分になった時点で電話をすると、すぐに待ち合わせ場所に現れた。当方は30分の待ち合わせだと思い、池江は当方が待ち合わせ場所に着いたら電話をくれると思っていた。互いの勘違いで出発が遅れた。それでも予定していた8時前にエーグル地区に着いた。しかし、その時点で池江が見たがっていたミアンドルの、そしてA・ファーブル厩舎の追い切りは終わっていた。聞くと、予定を繰り上げて7時30分に走ったと言う。

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鹿戸雄一師

鹿戸雄一調教師。

「ショックを受けた」
 日本の8月ではあり得ないほどの冷たい夜風を受け、鹿戸雄一はそう言った。05年、イギリス・ニューマーケット。街外れのパブから宿舎まで、真っ暗な一本道を二人で歩きながら話した。鹿戸は初めてオーストラリアで騎乗した時のことを思い起こしながら冒頭のセリフを吐いた。
 62年5月生まれの鹿戸。父親が牧場で働いていた。自然、小さい頃から馬と親しむ生活をした。小学生の頃からポニーに跨り、中学では草競馬に騎乗した。中学を出ると騎手を目指し、馬事公苑生になった。当時はそこを卒業してもすぐにデビューできるわけではない時代。見習い騎手として、再び騎手試験に合格しなければならなかった。
「4回目の試験、21歳の時にようやく合格しました。馬事公苑では杉浦(宏昭)君や田面木(博公)君と同期だったけど、デビューは僕が一番遅くなりました」
 84年、久保田金造厩舎からデビュー。師匠が勇退する際、オーストラリアへ連れて行ってもらい、現地の騎手たちと接し、ショックを受けた。
「勝つためには何でもしてやろうというハングリー精神を感じました。そういう人たちがいることを知り、自分もこのままではいけないと思いました」
 心を入れ替え帰国した。なんでも自分の実になるのなら…と貪欲に取り組む姿勢がいつしかリーディングトレーナー・藤沢和雄の目にとまった。厩舎の手伝いをしつつ、競馬にも乗せてもらった。
「そのうち時代の流れもあって僕がジョッキーを続けていくには少し厳しいかな……って考えるようになりました」
 騎手を目指した時のように自然と調教師に矛先を向けた。 (さらに…)

有馬記念

オルフェーヴルが制した11年の有馬記念の風景。

いよいよ有馬記念が目前に迫りました。
昨年はドリームジャーニーが制覇。管理する池江泰寿調教師は、自らの父である池江泰郎調教師の下で、調教助手をしていた時、ステイゴールドに関わっていた人。そのステイゴールドが3度にわたり弾き返されたグランプリの壁を、同馬の産駒のドリームジャーニーで見事に突破したわけです。
また、手綱をとった池添謙一騎手も父・池添兼雄調教師がまだ手にしたことのない有馬記念という大きなタイトルを奪取。様々なところに親子の絆や血統のロマンを感じさせる結果となりました。
しかし、今回、お話ししたいのはもう少し昔の話です。オグリキャップやトウカイテイオーなど、多くのドラマの舞台となった有馬記念。中でもオールドファンにとって今も語り草となっている名勝負は77年ではないでしょうか。そう、あのテンポイントとトウショウボーイが繰り広げた日本競馬史上に残る好レースです。
幸運にも私は後に、それぞれの鞍上である鹿戸明現調教師と武邦彦氏に話を伺う機会がありました。彼等の言葉と当時の状況を、簡単に紹介したいと思います。 (さらに…)

朝日FS根本師メリーナイス

 こんにちは、平松さとしです。
 先週は香港の国際レースを取材してきました。毎年、地元香港馬が圧倒的なパフォーマンスをみせる香港スプリントで、今年は事件が起きました。 (さらに…)

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永島太郎騎手

 「角田騎手に間違えられたんです」
 初めてJRAで騎乗した時のことを思い出し、そういって磊落に笑ったのは永島太郎。園田競馬の騎手だ。74年1月生まれで現在34歳。騎手会長をも務める。
 生家近くの京都競馬場へ幼い頃から出入りした。ミホシンザンの勝った天皇賞に心を躍らせた。中学に通う頃になるとそれまで単なる憧れだった騎手を現実的に考えるようになった。中学三年生で自ら願書を出しJRAの競馬学校を受けた。
一次試験に合格。二次試験に臨むため東京へ向かう新幹線。「受かったら思う存分食べられなくなるだろうから」と父から弁当を勧められ平らげた。東京に着いてからも「力をつけていけ」とまた食事をした。その結果、体重をオーバーしその場で「騎手は諦めてくれ」と勧告された。それは試験官の個人的な意見ではなく、JRA側からの通告だった。
「父は未だに『悪いことをした』って引きずっています」 (さらに…)

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